2006年10月活動記録
2006年 09月 19日
<10月29日(日)>黒川里山まつり 黒川窯
9時~16時
実は、今日のイベントは菊炭友の会の思いとは離れたところで実施されました。私達は、里山まつりに来られる不特定多数の方達に、窯の前で、この黒川の里山の素晴らしさを紹介し、菊炭を通じて、自然の偉大さについて語りかけたいと思っていました。ところが、諸事情が折り重なって、それが不可能になりました。
黒川窯では、お茶会を開き、茶道の先生方を中心にお客様を招待されることになり、その数が多く、一般の方の入場を制限すると言うのです。
それは本末転倒だというのが私達の思いです。結果、里山まつりには形だけの5名で、大した準備もしないで参加しました。
今日は、窯の前で一般の人達へ説明したかったことを、茶道の先生方に話ました。
180名を約30名づつ、6回位に分けて・・。
最初のグループに説明していて「おやっ!?」と感じました。普段、菊炭を使って居られる先生方だのに・・・ 菊炭の生い立ちについて何もご存知なさそう・・・。
そう受け取った私は、お茶席での話題の種になるように、炭焼の工程、炭を焼くことの大変さ、原木のクヌギのこと、クヌギが育つ環境、台場クヌギのこと、そのふるさとの里山、そして里山の来し方、樹木のこと、自然の偉大さ など等、多くを語りました。
話していて、これはこれで、とても良いことだ、菊炭を使っている現場で話題にしてもらえば、分りやすく、大勢の人に知ってもらえることになる、黒川にも行って見たいという人が出て来る、と思い始めました。
同じ内容の話を6回も繰り返すのは大変苦痛であり、喉も変になりましたが、結果は良かったと思います。帰りに窯主からも丁寧なお礼の言葉を頂いたりで、機嫌も直りました。
着物姿の綺麗所?に長時間、頷きながら熱心に聞いてもらえたので、気を良くしたのかも・・・単純ですね。案外そんなところか・・・。おやすみなさい。
<10月27日(金)>黒川・桜の森⑫(作業道拓き④)
9時30分~15時
”里山まつり29日””作業小屋組立11月2~5日””作業道造りの重機導入7日から連続”と、日程を動かせない3つのことが目前に迫り、それぞれ担当者が居て、問題ないのですが、資材の調達など、何となく気忙しい毎日です。
まず、作業道のメドをつけるべく、現在、基地から200m地点で止まっている杭打ちを、一気に250m、300m、350mと3ヶ所に打ち、そして桜の森の最高地点、365.9mの三角点がある所へ迫りました。
標高220mの作業小屋から巻尺での実測350m地点に杭を打ちました。地形図上、奇しくもこの地点は標高も約350mです。
350m地点から20mも行けば三角点があるはずです。
未だメンバーの誰も見ていない三角点が目前にあるはず・・と思うと、チームを組んでるNさんとの連携も忘れ、一気に登りました。
三角点は、予想通りありました。しかし、すぐそこだという油断がありました。山の頂上状態の所へ行くのに、引き返す時の目印を付けずに登ってしまいました。
そして、三角点の写真を撮るための移動で、登ってきた位置を見失ってしまったのです。おまけに、地形図は250m地点に置いたまま。磁石は持っていましたが地図無しではどうしようもありません。
独力での下山は諦めましたが、Nさんが近くに居るから笛を吹けばいいやと安心していました。
「ピッ!ピッ!ピッ!ピッ!ピイー」と緊急用の合図を送りました。何度も吹きました。応答なし!
昼食直前だったので、降りてしまったのだろうか・・まさか!と思いましたが、現実は応答がないのです。
ふと、携帯を持っているのに気付きました。これまで、私は携帯は持っていませんでした。この山は携帯が通じます。緊急用に持とうと用意したのが、まさか、自分自身が第1号とは・・・。
ジローさんに電話。「ジローさん、今何処?」「200m地点から、西へ100m位の所」「そう、降りる方向を見失ったので、200m地点に帰り、新しく杭を打ってあるから、250m、300mとあがってきて笛を吹いてよ」 暫く待っても、笛は聴こえません。聴こえたのは、かなり近くなってから。笛も100m離れると駄目だと分りました。後で確認すると、やはりNさんが最も近く120m位の所に居ました。しかし、笛の音は聴こえていません。
私は、来たのとは反対側へ降りようとしていたようです。この山は小さいとはいえ、周りが樹に覆われ遠景がききません。油断は禁物です。2~3名のチームを組んで動いている意味を再確認しなければ・・。
山の様子ですが、250m地点辺りから、枯れたのも多いけれど、アカマツがふえます。300m辺りになると、アカマツとソヨゴばかり。サクラは見当たりません。
そして、動物の遊び場のような窪地や獣道が多くなります。猪はこのような尾根筋で昼寝をすると聞きますし、今朝、それに昼頃と2度、複数の鹿の姿を見た人が居ます。そう言えば、短い鳴き声を私も聞きました。
彼らの世界に踏み込んで、迷惑をかけているんだなと思いはするのですが、この森を、このままの状態で放置するわけには行かないんだよね。このままでは、森が森の役割を果たせないようになってしまう。そうなって困るのは、人間だけではなく、君達もなんだから。
50年前に居た所へ帰ってくれないかな・・。(あれば・・の話だね)
その頃までは、沢山の人間がこの森に入って来ていたんだし。 現に今日、桜を迂回する新しい道の為、笹薮を拓いた中から炭焼窯の跡が出てきたりしてるし。
虫のいい話で申し訳ないんだけれど・・。
作業終了間際に、Mさん達が森の入り口まで運び込んだ建築用木材を現場まで運びました。まぁ、その重いこと。今日のとどめには充分でした。
<10月18日(水)>黒川・桜の森⑫(植生調査勉強会①)
12時~15時
兵庫県立大:服部教授ならびに3名の助手の方々を招請し、会員14名
参加で桜の森の植生について、調査方法を含めて勉強会を実施しました。
調査場所に全員集合です。 説明に聞き入っています。 倒れている木がエドヒガンだとわかりました。
倒木の原因は、フジに締め付けられ弱ったところを風に倒されたようです。
植物の生存競争(日光の奪い合い)の結果はこのようになるのですね。
10×10㎡の調査地域では、笹を刈ってから未だ2ヶ月も経過していま
せん。しかし、今日の調査では林床に既に20種もの、新しい芽が出ている
ことが分りました。
笹だけだった所に光が当たれば、こんなに多くの植物が息を吹きだす。
日が当たるのを何年も待ち続けている植物が居るのです。感動しますね。
太陽光線が地球上の生物に果たす役割の大きさに改めて驚きます。
服部先生のアドバイスは「まず笹と蔓を切り、常緑樹を伐る。それから
サクラの周りの整備をされると良いでしょう」と、私達の規定方針を裏打ち
して下さいました。
調査実習後、植物観察の為、全員で作業道を①から②の途中まで歩き
ました。①にはエノキが並木のように林立。このルートは ”エノキ通り”と
呼ぼうかとの声が出ました。
歩いた結果、この森には、エドヒガン、ヤマザクラ以外にカスミザクラ、
ウワミズザクラの4種類のサクラがあることが分りました。そして高木で
多いのがホオノキでした。
お疲れ様でした。おやつはKさん手作りのケーキにお茶です。
服部先生の最終講評は「荒れ方の酷い森ですが
それだけ遣り甲斐もあるでしょう。何より、エドヒガン、エノキそしてクヌギの古木と、昆虫も寄って来る大きな特徴があり、面白い所だと思います。」ということでした。
ありがとうございました。これで良いのだろうかと我流を危ぶんでいましたが、道が開けた気分になりました。
<調査地域の概要>
北緯:34度56分 東経:135度26分 海抜:228m
方位:S40度E 傾斜:12度 面積10×10㎡
<高木層> 高さ:18m 被度:70%
クヌギ(3) 胸高周囲:85cm、70cm、65cm 被度:60%
ホウノキ 〃 72cm 〃 10%
<亜高木層> 高さ:10m 被度:8%
ヤマザクラ(4)
<第1低木層> 高さ:7m 被度:45%
クリ(15%) ホウノキ(5%) ムラサキシキブ(2)(4%) ヤマザクラ(1%)
ヤマコウバシ(2)(10%) ヤマハゼ(2)(10%)
<第2低木層> 被度:0.5%
ネザサ(刈取済)
<草本層> 被度:0.5%
フジ、ミツバアケビ、ナワシログミ、センニンソウ、コバノガマズミ、クサイチゴ
タチツボスミレ、ナガバジャノヒゲ、アオツヅラフジ、チヂミザサ、スイカズラ
ボタンヅル、アケビ、ビナンカズラ、イボタ、ネムノキ、アオキ、ワラビ、エノキ
クロモジ
<調査地域イメージ図> (画像をクリックすれば拡大します。)
<作業道沿いの樹木> (画像をクリックすれば拡大します)
カマツカ、エドヒガン、エノキ、ゴンズイ、ウワミズザクラ、クヌギ、ホウノキ
カナクギノキ、ヤマザクラ、コナラ、クマノミズキ、ニガキ、ヌルデ、ヒサカキ
ケケンポナシ
<10月17日(火)>黒川・桜の森⑪(作業道拓き③)
9時30分~15時
参加者12名。午前中は、2~3名のチームを組み、緊急時と休憩時の呼子の吹き方を決めた後、大きく展開し、作業道拓きと笹薮拓き。
作業道は山の高度があがるに従い、岩肌が露出している箇所が増えてきました。ルート⑤はかなり大きく迂回しないと駄目ですね。
午後は全員で、作業道の長さを測定しながら、道を味わい、植物観察を楽しみました。
少しずつ、少しずつですが全体像が見え始めています。
ホウノキ、カキ、サンショ、ハナイカダ、コマユミ。 やはり、ヤマザクラも含めて、サクラが目立ちます。枯れたサクラも・・・。
Kさんがコマユミの枝にタオルを巻きつけ「これは伐らないで」と言っていました。タオルの落し物を結わえてあると、勘違いしないで下さい。
生育している木の種類が分り始めると森が身近に感じられて来ました。
50mの巻尺で実測している所です。
実測値: ルート① 120m 計画値: 150m
② 170m 215m
③ 67m 200m
④ 134m 250m
地図上で計画した長さより、全てがかなり短いですね。作業をしながら、
この辺りで折り返せば良いだろうと(サクラと思しき大樹の有無、自分の疲労度、道を拓く困難度などを考慮し)感覚的に判断した結果です。このままで行くか再検討しましょう。
昨日、篠山の知人から、マルマルと太った見るからに美味そうな黒豆が届きました。早速、茹でて食すと、これが美味い。皆にもと思い山へ持参。ご覧の通り、立派な豆でしょう。
美味いという評価と同時に、予想通りの言葉が出ました。飲酒運転は駄目ですからね。
<10月14日(土)>里山セミナー 於:人と自然の博物館
14時~17時
服部先生のお誘いにより、三田市の”人と自然の博物館”でのセミナーに有志6名が参加しました。
昔、生活に活用していた里山も、今は経済的に価値をなくしたために放置されており、所謂”里山放置林”と呼ばれるようになっいている。里山放置林を植物の遷移のままにすることは、暗い森になり、生物の多様性から見て、大変憂慮すべきこと。これを”心林”として再生しようと言う内容でした。講義の後、近くの公園の植物観察もしました。
<10月13日(金)>黒川・桜の森⑩(作業道拓き②)
9時30分~15時
今日は、参加者12名。絶好の作業日和。
写真を撮る間も惜しんで?作業をしていた結果、この1枚だけ。
お目当てのエドヒガンの大樹です。
高さ20mはあるでしょうか。
山の中腹、緩やかな谷間で見つけました。これだけ立派だと、感動ものです。
エドヒガンの養生法を樹木医の大ベテランにお聞きしたところ、「枝が広がっている範囲(理想は1.5倍)の草木を伐採、軽く耕し、肥料をやり、根を踏まないようにする。それで万全」とのことでした。
と言うことは、ここに写っているもの、エドヒガン以外の殆どを伐採することになりますね。
作業の方は、ルート④(正式名は未だ)が50%位までと、18日の調査予定地域の笹刈りが終了です。
今日は、嬉しいことがありました。お客様が二人。午前中に黒川窯のMさん。「どんな状況かなと思って、来てみたら皆さんがおられた・・・」と。
午後の作業終了間際に、「チェンソーの音が聞こえたから、来てはるんやなと思って・・・」と黒川自治会山係の長老Mさん。
私達のお隣さんのようなものです。この方の来訪が特に嬉しい。
最初、姿を見た時はドキッ! でも、何時になく、好意的に色々話して下さり、なお感謝。
地元の方々が関心を持って見守って頂くのが、私達にとって、最高の遣り甲斐です。これからも、時々来て下さいね。
ところがですね・・・大変なヘマをやってのけました。山係のMさんの刈払機を誰かが我が会の物と思ったのでしょう、持って帰ってしまいました。
帰宅すると「すぐ電話せよと、Mさんから・・」と言うので、何事かと思い、電話すると、そういうことだと分りました。ヤレヤレ・・・。
Sさんにすぐ返却に走ってもらいました。
<10月9日(月)>黒川・桜の森⑨(作業小屋建設工事①)
9時30分~13時30分
作業小屋建設工事の中で、地味だけれども、とても大事な”遣り方”(やりかた)という工事を完了しました。設計者のTさんの指導のもとに、Kさんとの3人での作業でした。
(容量の都合でカットしました)
”水管”(すいかん)と呼ぶ長さ10m、直径1cm位の透明のビニール管に水を満たした物を、計測器として使い、全体の水平位置を決める作業です。
極めて原始的だけれど、正確なのに驚かされます。それと、ピタゴラスの定理というのですか、3・4・5で直角位置も決めました。面白い経験をしました。
他の人にも声をかけようかと思いましたが、私自身、昨夜メールで呼び出されたので失礼しました。
現場には”水糸”(みずいと)と呼ぶ赤い糸と、黄色い糸が張ってあります。見えにくいので次に現地に行った時には、切らないよう注意して下さい。
この遣り方が完了したことによって、資材が運び込まれれば、いつでも建築にかかれる状態になりました。
<10月7日(土)~8日(日)>安全リーダー養成講座
7日7時20分畦野駅S車で出発。 8日19時30分帰着
場所:姫路市夢前町「夢さきの夢の里 農業公園 夢やかた」「ゆめさきの森公園」
兵庫県・豊かな森づくり室主催の安全研修が5日間に亘って開催されます。今回は、そのうちの最初の2日分が1泊2日で開かれました。
県下から16名の受講者で、内6名が我が菊炭友の会のメンバーです。
1日目、(夢やかた)①安全りーダーの役割と心構え
②森林ボランテイア活動と安全対策
③危険予知トレーニング
2日目、(夢やかた)①応急措置・救急法
(森公園) ②伐倒に関する基本(鋸、選木実習)
③チェンソーの基本(始業点検、メンテナンス)
というような内容でした。非常に重要なことなので真剣に受講しました。
しかし「安全」に関する授業は楽しいものではありません。会の実情が思い浮かんで来たりするので、とても疲れました。
夜はコテージ泊、バーベキューで夕食兼交流会。こちらはご想像通りです。 2日目、実習地(ゆめさきの森公園)へ向う受講者
鋸の基本 切り口の吟味
チェンソーの点検 チェンソーの基本
<10月3日(火)>黒川・桜の森⑧ (作業道拓き①)
9時30分~15時30分
10月より、夏時間から通常の活動時間に変わりました。
今月の重点課題はエドヒガン救助活動の為の作業道を切り拓くことです。
県との約束の”2年間で2ha整備する”ということに拘らず、この山にある桜は全て救助対象にしようという訳ですから、桜が分布する場所を狙って、森の中に分け入り道を造ります。 かなり、酷い状況になっています。日光を奪い合う熾烈な生存競争に負け、立ち枯れているヤマザクラもあります。フジの蔓に締め上げられている樹も沢山あります。
「なんとか間に合った。今なら助けられる樹もある」という印象です。
作業道の愛称募集!(画像をクリックすると拡大します) 作業道は将来、メイン遊歩道になります。予定路線(赤い点線)に番号をつけました。番号も良いけれど、折角だから、名前を付けたいですね。
既に拓いていた①は150m、今日拓いた②は直線距離で225m、そして、これから拓く③200m、④250m、⑤275m、⑥160m、⑦110mです。
種々の障害があり迂回しなければならない為、実際の道程はこれより長くなるでしょう。
菊炭友の会の会員は勿論、ブログのビジターもどしどし応募してください。
採用の人には、何か素敵な賞品を考えましょう。
9時~16時
実は、今日のイベントは菊炭友の会の思いとは離れたところで実施されました。私達は、里山まつりに来られる不特定多数の方達に、窯の前で、この黒川の里山の素晴らしさを紹介し、菊炭を通じて、自然の偉大さについて語りかけたいと思っていました。ところが、諸事情が折り重なって、それが不可能になりました。
黒川窯では、お茶会を開き、茶道の先生方を中心にお客様を招待されることになり、その数が多く、一般の方の入場を制限すると言うのです。
それは本末転倒だというのが私達の思いです。結果、里山まつりには形だけの5名で、大した準備もしないで参加しました。
今日は、窯の前で一般の人達へ説明したかったことを、茶道の先生方に話ました。
180名を約30名づつ、6回位に分けて・・。
最初のグループに説明していて「おやっ!?」と感じました。普段、菊炭を使って居られる先生方だのに・・・ 菊炭の生い立ちについて何もご存知なさそう・・・。
そう受け取った私は、お茶席での話題の種になるように、炭焼の工程、炭を焼くことの大変さ、原木のクヌギのこと、クヌギが育つ環境、台場クヌギのこと、そのふるさとの里山、そして里山の来し方、樹木のこと、自然の偉大さ など等、多くを語りました。
話していて、これはこれで、とても良いことだ、菊炭を使っている現場で話題にしてもらえば、分りやすく、大勢の人に知ってもらえることになる、黒川にも行って見たいという人が出て来る、と思い始めました。
同じ内容の話を6回も繰り返すのは大変苦痛であり、喉も変になりましたが、結果は良かったと思います。帰りに窯主からも丁寧なお礼の言葉を頂いたりで、機嫌も直りました。
着物姿の綺麗所?に長時間、頷きながら熱心に聞いてもらえたので、気を良くしたのかも・・・単純ですね。案外そんなところか・・・。おやすみなさい。
<10月27日(金)>黒川・桜の森⑫(作業道拓き④)
9時30分~15時
”里山まつり29日””作業小屋組立11月2~5日””作業道造りの重機導入7日から連続”と、日程を動かせない3つのことが目前に迫り、それぞれ担当者が居て、問題ないのですが、資材の調達など、何となく気忙しい毎日です。
まず、作業道のメドをつけるべく、現在、基地から200m地点で止まっている杭打ちを、一気に250m、300m、350mと3ヶ所に打ち、そして桜の森の最高地点、365.9mの三角点がある所へ迫りました。
標高220mの作業小屋から巻尺での実測350m地点に杭を打ちました。地形図上、奇しくもこの地点は標高も約350mです。
350m地点から20mも行けば三角点があるはずです。
未だメンバーの誰も見ていない三角点が目前にあるはず・・と思うと、チームを組んでるNさんとの連携も忘れ、一気に登りました。
三角点は、予想通りありました。しかし、すぐそこだという油断がありました。山の頂上状態の所へ行くのに、引き返す時の目印を付けずに登ってしまいました。
そして、三角点の写真を撮るための移動で、登ってきた位置を見失ってしまったのです。おまけに、地形図は250m地点に置いたまま。磁石は持っていましたが地図無しではどうしようもありません。
独力での下山は諦めましたが、Nさんが近くに居るから笛を吹けばいいやと安心していました。
「ピッ!ピッ!ピッ!ピッ!ピイー」と緊急用の合図を送りました。何度も吹きました。応答なし!
昼食直前だったので、降りてしまったのだろうか・・まさか!と思いましたが、現実は応答がないのです。
ふと、携帯を持っているのに気付きました。これまで、私は携帯は持っていませんでした。この山は携帯が通じます。緊急用に持とうと用意したのが、まさか、自分自身が第1号とは・・・。
ジローさんに電話。「ジローさん、今何処?」「200m地点から、西へ100m位の所」「そう、降りる方向を見失ったので、200m地点に帰り、新しく杭を打ってあるから、250m、300mとあがってきて笛を吹いてよ」 暫く待っても、笛は聴こえません。聴こえたのは、かなり近くなってから。笛も100m離れると駄目だと分りました。後で確認すると、やはりNさんが最も近く120m位の所に居ました。しかし、笛の音は聴こえていません。
私は、来たのとは反対側へ降りようとしていたようです。この山は小さいとはいえ、周りが樹に覆われ遠景がききません。油断は禁物です。2~3名のチームを組んで動いている意味を再確認しなければ・・。
山の様子ですが、250m地点辺りから、枯れたのも多いけれど、アカマツがふえます。300m辺りになると、アカマツとソヨゴばかり。サクラは見当たりません。
そして、動物の遊び場のような窪地や獣道が多くなります。猪はこのような尾根筋で昼寝をすると聞きますし、今朝、それに昼頃と2度、複数の鹿の姿を見た人が居ます。そう言えば、短い鳴き声を私も聞きました。
彼らの世界に踏み込んで、迷惑をかけているんだなと思いはするのですが、この森を、このままの状態で放置するわけには行かないんだよね。このままでは、森が森の役割を果たせないようになってしまう。そうなって困るのは、人間だけではなく、君達もなんだから。
50年前に居た所へ帰ってくれないかな・・。(あれば・・の話だね)
その頃までは、沢山の人間がこの森に入って来ていたんだし。 現に今日、桜を迂回する新しい道の為、笹薮を拓いた中から炭焼窯の跡が出てきたりしてるし。
虫のいい話で申し訳ないんだけれど・・。
作業終了間際に、Mさん達が森の入り口まで運び込んだ建築用木材を現場まで運びました。まぁ、その重いこと。今日のとどめには充分でした。
<10月18日(水)>黒川・桜の森⑫(植生調査勉強会①)
12時~15時
兵庫県立大:服部教授ならびに3名の助手の方々を招請し、会員14名
参加で桜の森の植生について、調査方法を含めて勉強会を実施しました。
調査場所に全員集合です。
倒木の原因は、フジに締め付けられ弱ったところを風に倒されたようです。
植物の生存競争(日光の奪い合い)の結果はこのようになるのですね。
10×10㎡の調査地域では、笹を刈ってから未だ2ヶ月も経過していま
せん。しかし、今日の調査では林床に既に20種もの、新しい芽が出ている
ことが分りました。
笹だけだった所に光が当たれば、こんなに多くの植物が息を吹きだす。
日が当たるのを何年も待ち続けている植物が居るのです。感動しますね。
太陽光線が地球上の生物に果たす役割の大きさに改めて驚きます。
服部先生のアドバイスは「まず笹と蔓を切り、常緑樹を伐る。それから
サクラの周りの整備をされると良いでしょう」と、私達の規定方針を裏打ち
して下さいました。
調査実習後、植物観察の為、全員で作業道を①から②の途中まで歩き
ました。①にはエノキが並木のように林立。このルートは ”エノキ通り”と
呼ぼうかとの声が出ました。
歩いた結果、この森には、エドヒガン、ヤマザクラ以外にカスミザクラ、
ウワミズザクラの4種類のサクラがあることが分りました。そして高木で
多いのがホオノキでした。
お疲れ様でした。おやつはKさん手作りのケーキにお茶です。
服部先生の最終講評は「荒れ方の酷い森ですが
それだけ遣り甲斐もあるでしょう。何より、エドヒガン、エノキそしてクヌギの古木と、昆虫も寄って来る大きな特徴があり、面白い所だと思います。」ということでした。
ありがとうございました。これで良いのだろうかと我流を危ぶんでいましたが、道が開けた気分になりました。
<調査地域の概要>
北緯:34度56分 東経:135度26分 海抜:228m
方位:S40度E 傾斜:12度 面積10×10㎡
<高木層> 高さ:18m 被度:70%
クヌギ(3) 胸高周囲:85cm、70cm、65cm 被度:60%
ホウノキ 〃 72cm 〃 10%
<亜高木層> 高さ:10m 被度:8%
ヤマザクラ(4)
<第1低木層> 高さ:7m 被度:45%
クリ(15%) ホウノキ(5%) ムラサキシキブ(2)(4%) ヤマザクラ(1%)
ヤマコウバシ(2)(10%) ヤマハゼ(2)(10%)
<第2低木層> 被度:0.5%
ネザサ(刈取済)
<草本層> 被度:0.5%
フジ、ミツバアケビ、ナワシログミ、センニンソウ、コバノガマズミ、クサイチゴ
タチツボスミレ、ナガバジャノヒゲ、アオツヅラフジ、チヂミザサ、スイカズラ
ボタンヅル、アケビ、ビナンカズラ、イボタ、ネムノキ、アオキ、ワラビ、エノキ
クロモジ
<調査地域イメージ図> (画像をクリックすれば拡大します。)
<作業道沿いの樹木> (画像をクリックすれば拡大します)
カマツカ、エドヒガン、エノキ、ゴンズイ、ウワミズザクラ、クヌギ、ホウノキ
カナクギノキ、ヤマザクラ、コナラ、クマノミズキ、ニガキ、ヌルデ、ヒサカキ
ケケンポナシ
<10月17日(火)>黒川・桜の森⑪(作業道拓き③)
9時30分~15時
参加者12名。午前中は、2~3名のチームを組み、緊急時と休憩時の呼子の吹き方を決めた後、大きく展開し、作業道拓きと笹薮拓き。
作業道は山の高度があがるに従い、岩肌が露出している箇所が増えてきました。ルート⑤はかなり大きく迂回しないと駄目ですね。
午後は全員で、作業道の長さを測定しながら、道を味わい、植物観察を楽しみました。
少しずつ、少しずつですが全体像が見え始めています。
ホウノキ、カキ、サンショ、ハナイカダ、コマユミ。 やはり、ヤマザクラも含めて、サクラが目立ちます。枯れたサクラも・・・。
Kさんがコマユミの枝にタオルを巻きつけ「これは伐らないで」と言っていました。タオルの落し物を結わえてあると、勘違いしないで下さい。
生育している木の種類が分り始めると森が身近に感じられて来ました。
50mの巻尺で実測している所です。
② 170m 215m
③ 67m 200m
④ 134m 250m
地図上で計画した長さより、全てがかなり短いですね。作業をしながら、
この辺りで折り返せば良いだろうと(サクラと思しき大樹の有無、自分の疲労度、道を拓く困難度などを考慮し)感覚的に判断した結果です。このままで行くか再検討しましょう。
昨日、篠山の知人から、マルマルと太った見るからに美味そうな黒豆が届きました。早速、茹でて食すと、これが美味い。皆にもと思い山へ持参。ご覧の通り、立派な豆でしょう。
美味いという評価と同時に、予想通りの言葉が出ました。飲酒運転は駄目ですからね。
<10月14日(土)>里山セミナー 於:人と自然の博物館
14時~17時
服部先生のお誘いにより、三田市の”人と自然の博物館”でのセミナーに有志6名が参加しました。
昔、生活に活用していた里山も、今は経済的に価値をなくしたために放置されており、所謂”里山放置林”と呼ばれるようになっいている。里山放置林を植物の遷移のままにすることは、暗い森になり、生物の多様性から見て、大変憂慮すべきこと。これを”心林”として再生しようと言う内容でした。講義の後、近くの公園の植物観察もしました。
<10月13日(金)>黒川・桜の森⑩(作業道拓き②)
9時30分~15時
今日は、参加者12名。絶好の作業日和。
写真を撮る間も惜しんで?作業をしていた結果、この1枚だけ。
お目当てのエドヒガンの大樹です。
高さ20mはあるでしょうか。
山の中腹、緩やかな谷間で見つけました。これだけ立派だと、感動ものです。
エドヒガンの養生法を樹木医の大ベテランにお聞きしたところ、「枝が広がっている範囲(理想は1.5倍)の草木を伐採、軽く耕し、肥料をやり、根を踏まないようにする。それで万全」とのことでした。
と言うことは、ここに写っているもの、エドヒガン以外の殆どを伐採することになりますね。
作業の方は、ルート④(正式名は未だ)が50%位までと、18日の調査予定地域の笹刈りが終了です。
今日は、嬉しいことがありました。お客様が二人。午前中に黒川窯のMさん。「どんな状況かなと思って、来てみたら皆さんがおられた・・・」と。
午後の作業終了間際に、「チェンソーの音が聞こえたから、来てはるんやなと思って・・・」と黒川自治会山係の長老Mさん。
私達のお隣さんのようなものです。この方の来訪が特に嬉しい。
最初、姿を見た時はドキッ! でも、何時になく、好意的に色々話して下さり、なお感謝。
地元の方々が関心を持って見守って頂くのが、私達にとって、最高の遣り甲斐です。これからも、時々来て下さいね。
ところがですね・・・大変なヘマをやってのけました。山係のMさんの刈払機を誰かが我が会の物と思ったのでしょう、持って帰ってしまいました。
帰宅すると「すぐ電話せよと、Mさんから・・」と言うので、何事かと思い、電話すると、そういうことだと分りました。ヤレヤレ・・・。
Sさんにすぐ返却に走ってもらいました。
<10月9日(月)>黒川・桜の森⑨(作業小屋建設工事①)
9時30分~13時30分
作業小屋建設工事の中で、地味だけれども、とても大事な”遣り方”(やりかた)という工事を完了しました。設計者のTさんの指導のもとに、Kさんとの3人での作業でした。
(容量の都合でカットしました)
”水管”(すいかん)と呼ぶ長さ10m、直径1cm位の透明のビニール管に水を満たした物を、計測器として使い、全体の水平位置を決める作業です。
極めて原始的だけれど、正確なのに驚かされます。それと、ピタゴラスの定理というのですか、3・4・5で直角位置も決めました。面白い経験をしました。
他の人にも声をかけようかと思いましたが、私自身、昨夜メールで呼び出されたので失礼しました。
現場には”水糸”(みずいと)と呼ぶ赤い糸と、黄色い糸が張ってあります。見えにくいので次に現地に行った時には、切らないよう注意して下さい。
この遣り方が完了したことによって、資材が運び込まれれば、いつでも建築にかかれる状態になりました。
<10月7日(土)~8日(日)>安全リーダー養成講座
7日7時20分畦野駅S車で出発。 8日19時30分帰着
場所:姫路市夢前町「夢さきの夢の里 農業公園 夢やかた」「ゆめさきの森公園」
兵庫県・豊かな森づくり室主催の安全研修が5日間に亘って開催されます。今回は、そのうちの最初の2日分が1泊2日で開かれました。
県下から16名の受講者で、内6名が我が菊炭友の会のメンバーです。
1日目、(夢やかた)①安全りーダーの役割と心構え
②森林ボランテイア活動と安全対策
③危険予知トレーニング
2日目、(夢やかた)①応急措置・救急法
(森公園) ②伐倒に関する基本(鋸、選木実習)
③チェンソーの基本(始業点検、メンテナンス)
というような内容でした。非常に重要なことなので真剣に受講しました。
しかし「安全」に関する授業は楽しいものではありません。会の実情が思い浮かんで来たりするので、とても疲れました。
夜はコテージ泊、バーベキューで夕食兼交流会。こちらはご想像通りです。
鋸の基本 切り口の吟味
チェンソーの点検 チェンソーの基本
<10月3日(火)>黒川・桜の森⑧ (作業道拓き①)
9時30分~15時30分
10月より、夏時間から通常の活動時間に変わりました。
今月の重点課題はエドヒガン救助活動の為の作業道を切り拓くことです。
県との約束の”2年間で2ha整備する”ということに拘らず、この山にある桜は全て救助対象にしようという訳ですから、桜が分布する場所を狙って、森の中に分け入り道を造ります。
「なんとか間に合った。今なら助けられる樹もある」という印象です。
作業道の愛称募集!(画像をクリックすると拡大します)
既に拓いていた①は150m、今日拓いた②は直線距離で225m、そして、これから拓く③200m、④250m、⑤275m、⑥160m、⑦110mです。
種々の障害があり迂回しなければならない為、実際の道程はこれより長くなるでしょう。
菊炭友の会の会員は勿論、ブログのビジターもどしどし応募してください。
採用の人には、何か素敵な賞品を考えましょう。
by cn1397 | 2006-09-19 17:20 | 2006年10月活動記録 | Comments(0)